
先日、公共の建物の自家発電設備の負荷運転の立会をしてきました。自家発の負荷運転(定格出力の30%以上を30分実施)が消防法改正により1年に1度実施が義務付けられましたが厳しい改正だったためか、平 成30年6月1日付け消防庁告示第12号にて再度消防法が改正され緩和措置が取られたようです。
主な内容は「負荷運転(負荷試験)および内部観察の点検周期を6年に1回に延長」できるというもの。「予防的な保全策が講じられていれば」という条件がついております。つまり予防的な保全策が講じられていなければ負荷運転が必要という事です。
予防的な保全策とは
ア.次の始動補助装置等について1年毎に機能確認を行う
①予熱栓・・・発熱部に断線、変形、絶縁不良等がないこと
②点火栓・・・電極の異常な消耗がないこと、プラグギャップ値が製造者の指定範囲内であること、異常なカーボンの付着がないこと
③冷却水ヒータ・・・冷却水ヒータケース外周又は近傍の配管等に触れ、その他の部位より温度が高いことを確認すること、テスタにて冷却水ヒータの断線等の有無を確認すること
④潤滑油プライミングポンプ・・・正常に作動していること
イ 次の部品について製造者の指定する推奨交換年数毎に交換を行う
①潤滑油
②冷却水
③燃料フィルター
④潤滑油フィルター
⑤ファン駆動用Vベルト
⑥冷却水用等のゴムホース
⑦燃料・冷却水・潤滑油・給気・廃棄系統や外箱等に用いられるシール材
⑧始動用の蓄電池
負荷運転を年1回点検できるに越した事はありませんが費用もかかることですし、しっかりと説明したうえでお客様に選択して頂くべきかと思います。今回実施した公共案件のおける負荷運転では私の出る幕はなく指定された業者へ消防設備点検を請け負っている弊社を通して自家発負荷運転を実施するというものでした。果たして上記のようなことを発注者が理解したうえで決めた事なのかどうかは定かではありませんが…
まず事前調査として負荷試験業者、電気主任技術者、弊社の3社で自家発の負荷試験ができる環境かどうかを確認。自家発が何に供給されているのかも調査する事となっていたが全館の年次点検でもないので不明。おそらく屋内消火栓と排煙機が自動切替で誘導灯や非常灯、空調機械室、電気室等のブレーカーが手動切替のようである。あと発電機の負荷試験機を置く場所があるか搬入ができる場所かなどを調査。
そして今回、自家発の負荷運転を実施。まず負荷試験機の搬入であるが調査などというほど大騒ぎするような大きなものでなく普通の荷台が通れば何ら問題ないし、結構重いが一人で持ち上げる事も可能なものであった。自家発の出力電源線(3線)を外し電圧がどちらからも出ていない事を確認してから外して自家発と負荷試験機を接続、そのあと自家発を起動、出力電源に電圧が出ている事を確認してから0%、10%(5kva)、20%(10kva)、30%(15kva)と出力を上げていった。各段階で各数値をメモしてから30%のまま30分出力することとなった。
ところが15分頃から冷却水槽から水蒸気が異常に出てきて途中で停止させた。冷却水槽に温度計を近づけると90度以上ある(汗)
少し時間を置いて水槽の蓋(ナット8個ほど外さないと開けられない)を開けると水槽が空っぽであった。
「これでは試験続けられませんねぇ…バケツで水を汲んで水槽満タンにしても循環しているかわかりませんしまた空になってしまいますし…」
ムムム何を言っているんだ??ただのボールタップ不良だろ?
私「ボールタップ叩かせてもらっても良いですか?」
「いいですよ」
ボールタップの根本をスパナでコツコツと何度か叩くと少しずつ水が出てきてドボドボと出てきた。
私「ボールタップの固着ですね」
なんか、点検前にチェックシートでいろいろチェックしているのにボールタップから水が出る事をチェックしていない事にも驚いたし水槽が空っぽになる原因を調べようとせずに点検終了しそうな雰囲気にも驚いた。
冷却水槽が満タンになると今度は離れたところにある減圧水槽の水位が減っている事が判明。
私「こちらもボールタップ不良かもしれませんね」
といって脚立を持ってきて減圧水槽の蓋をあけると水位が下がっているにも関わらずボールタップの位置が同じままだったので手で下げると
ドボドボと水が出てきた。
何と言っていいのやら、何か立ち合いなんかする意味無いし契約書とか事務処理ばかり面倒なんで弊社を通さず勝手に契約してもらえばよいのにと思っていたが、今思えば立ち合いしてよかった。
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この記事へのコメント
kuri
消防庁でも注意喚起されています。
https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/items/h30_leaflet_fuka.pdf
無資格者ばかりのスーパー素人ですから今後確実に問題おこします。
昨年公共機関で仕事受けざるを得なかった物件は間に2社かませました。
自家発電機の正規の団体は一財)日本内燃力発電設備協会だけです。
この団体に所属していて発電機設置の工事を行っている業者であれば
ほぼ確実に設備士の免許も持っています。
今はこちらの業者に依頼するか施主に紹介しています。
金額は当然張りますので施主に紹介して設備点検から切り離す方が
将来的には正解な気もします。
消防行政もレベル低下が著しい。
グレーゾーンをカバーするならまず自家発電機メーカー団体と密な情報交換してから施行すればこんな事態にはならなかったのにね。
kuri
長々と書いたら消えちゃった(笑)
模擬負荷屋はスーパーど素人なので使っちゃだめです。
設備士無資格なので自己書式でのデータしかかかなかったでしょ。
あんなんじゃ金とっちゃ駄目なレベル。
うめうめ
コメントありがとうございます!
総務省の注意喚起パンフレット見ました。よくわかりますね。
ここ1年で自家発負荷運転の営業電話、FAX、パンフレットがどれだけ
来ていたことか。よくもまあ次から次へといろいろな負荷試験業者が存在するものだなと不思議に感じることすらありました。
新たな法改正に乗じたビジネスと思いますが、1年に1度から6年に1度への変更は受け入れがたいものがあるのでしょう。
今回、自分がボールタップ固着をしていなかったら、この後どうなっていたのだろうか?自家発の交換なんていう方向に発展していったのだろうか(汗)