名古屋ガーデンパレスホテルの立体駐車場における二酸化炭素消火設備放出事故

 昨年末の12月22日に名古屋市内の立体駐車場にて二酸化炭素消火設備が誤放射され死者1名負傷者10名という大惨事となりました。消防設備を携わるものとして人を助けるために考えられた設備が逆に人を殺傷してしまう方の事故となってしまった事、大変悲しく思います。

我々消防設備士はいけない考えを起こしてしまう事が多々あるのではないでしょうか?「こんな消防設備使う機会も無いのに点検するだけ無意味」とか「こんな消防設備あったって誰も使えやしない」とか。例えば「3Fより上の金属製避難はしごなんて重すぎて使える訳ないし無意味」とか「緩降機なんて使い方難しいし怖くて使えない」とか「救助袋なんて設営している暇があるならさっさと逃げるわ」とか。でも、これらの設備はそれぞれ考えて最も有効な設備として設置されている訳で、そこに文句を言っても仕方ないと思うんです。金属製避難はしごだって重くてもどうしても逃げるしかない状況になれば皆で頑張って持ち上げて使うかもしれないし、緩降機だって怖くても海外到るところに設置されていて、やはりどうしても死ぬか生きるかの時は利用して使うかもしれない。どうしてもっていう時が本当に滅多にない機会だからこんなの使いもしないから意味ないとか思ってしまう。でもそういう設備を点検したり世に知らしめたりするのが我々の仕事なのだから、そこに文句を言っても仕方ないと思う。

正直、二酸化炭素消火設備は今すぐにでも無くすべきだと思う。ボタン一つで人を死に到らしめる事ができるのだから。もちろんそういう理由から新しい二酸化炭素消火設備は存在しない。ハロン消火はオゾン層破壊の観点から新たな消火設備は制限されていて、これからは窒素ガス消火が主流と思われる。しかし既存の消火設備を今更無くしたり更新したりするのはかなりの費用が必要なのだから結局、二酸化炭素消火設備が危なくても維持管理していくしかないのだ。もしかしたら二酸化炭素消火設備が救う命より無くす命の方が多いのかもしれない。でもそんな事にならないよう、我々が点検維持管理するだけでなく広告塔となって設備について広めていく必要があると思う。

今回の事故の詳細はよく理解していないが、機械式(エレベータ式)駐車場のリフト吊りチェーンの更新工事中におそらく、誤って作動ボタンを押下し誤放射したものと推測される。消防設備士ならわかると思うが機械式駐車場内で工事作業中に二酸化炭素消火設備が放射されてしまったら一環の終わりである。たとえ火事であろうと工事中に誤放射されてしまったら中の作業員は間違いなく逃げられず死に到ると思ってよいだろう。実際に作動ボタン押下後に20秒後の時間があるとしても20秒で機械式駐車場内の作業員が逃げれるとはとても思えない。だから機械式駐車場内の工事をする際には火事などがあって、誰かが押しても作動しないよう電源を落としてから作業をするべきであると私は思う。その際には甲3の点検者を立ち合いさせるべきだ。機械式駐車場メーカーの作業員は実際にどうやって作業しているのか(マニュアル化されているか)は知り得ないが少なくとも普通の作業員であれば死に到るガスが設置されている事は知っているはずである。ちなみに20秒後に閉鎖区画とすべくシャッターは閉まってしまうし、二酸化炭素のせいで視界不良に陥るし施設によっては中にいる作業員は避難経路を失い死ぬのは必然なのかもしれない。

ちなみに窒素ガス消火設備であれば、窒素ガスが放射されると酸素濃度が低下して低酸素となるため放射後3分以内に退避が必要とされている。ハロン消火設備においては消火時に有害な熱分解性生物が発生し人体に危険である退避が必要となっている。ハロンが消火を開始してからの話であるわけであり、窒素ガス消火もハロン消火設備も放射後すぐに退避が必要であるものの二酸化炭素消火に比べればはるかに危険度が低いものと推測される。

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