
また二酸化炭素消火設備で凄惨な事故が起こりました。ここ半年の間で3回目という恐ろしい設備であります。我々の頭にしっかり記憶し忘れないためにも簡単に整理させてもらいます。
<1件目>
2020年12月、名古屋ガーデンパレスホテル地下駐車場でELV作業員1名死亡、原因は手動起動ボタン誤押下
<2件目>
2021年1月、東京西新橋のビル地下駐車場で消防設備点検中に消防設備士2名死亡、原因は点検中の誤放射だが詳細は未だ不明
<3件目>
2021年4月、東京新宿区のマンション地下駐車場で内装工事(天井張替中)に工事業者4名死亡、原因は熱AND煙感知器作動による放射
半年で3回目。それも死亡者が1→2→4名と倍々で増えてきて計7名。コロナ禍でコロナによる死者が多いせいであまりニュースになっていないかもしれないですが人の安全を担う設備が凄惨な事故となっている恐ろしい話です。再発防止のために検討会を開いているとか、そんな悠長な状況じゃないと思います。消防設備士としての私の意見は即刻、全国の二酸化炭素消火設備は使用停止(導管切り離し電源停止)にするべきだと思います。あまりに人を助ける確率と、人を殺す確率に乖離が生じている。無意味な設備と判断します。
今回も有資格者の立会が無い事が問題となっていますが、それじゃあ有資格者が立会すれば問題ないのか?私(甲3を持っている消防設備士)が立会してくれと言われても、あまり行きたくないです。まあ金額にもよりますが(笑)ではなぜ有資格者であるのに行きたくないのか?それは、建物によって消防設備の状況や建物の構造に相違があって初めて行く建物なのにちゃんと把握できるかどうか心配だからであります。自動手動の切り替えがあれば手動にして閉止弁を閉めて、閉止弁が無くても導管を外せばOKなんて簡単な話じゃない。それだけじゃ起動ボタンを押せば当然、起動ビンのソレノイドは働くから、起動ボンベを取り外して制御盤の電源を落として初めて安心といえる。起動ソレノイドが本ビン直接のタイプもあるから恐ろしい。つまり、いろんな消防設備の種類タイプがあって初物だと厄介なのに何か問題があると恐ろしい事になるから、行きたくないのだ。
故に最も良いのは毎回消防設備点検を実施している有資格者で建物を把握している消防設備士が立会するのがベストであります。
今回の事故について、原因が明らかになってきました。本現場は自動で放出する仕組みだったようで計12カ所(熱8カ所、煙4カ所)存在していたが天井張替の際に感知器を外して吊り下げて作業している際に熱感知器と煙感知器の両方が作動し放射されたようです。うーーん、恐ろしい話であります。自分は下水処理施設の点検では無人施設において自動で作動するCO2はよく点検していて熱、煙のAND回路でしたが、少ない地下駐車場の点検経験では自動式をあまり見たことがなく手動オンリーであったので自動であるという仕組みにまずビックリしました。
確かに熱と煙が両方同時に誤作動するなんて事は今まで聞いたことは無いですけど、感知器の誤作動は日常茶飯事であり、あり得ない話ではないから本当に恐ろしい。工事をしていて煙感知器の誤作動で電話があったり誤作動はよくある話であります。ボードの粉塵とかでも誤作動するでしょうし高圧洗浄でも誤作動起こりますし。一緒に熱感知器が作動するってどういう状況なんでしょう?もしくはどちらかが先に作動して保持したままでタイムラグがあってから作動したんでしょうか?
自動方式の場合、自火報と連携して自火報受信機に表示されてからCO2制御盤に移報されるパターンとCO2制御盤に直接表示されるパターンがあります。自火報受信機で受信したんであれば基本的には主音響だけでも鳴動するはずであります。CO2制御盤に直接であっても何らかの音響が鳴動しているはずです。鳴りっぱなしで2つ目の感知器が作動したんでしょうか?
いずれにしても何の制御もせずに工事をしたとしか思えません。やはり、感知器をぶら下げるような工事をする時点で消防設備士を手配せねばこういった大事故になるという事ですね。我々消防設備士も事故にならないよう慎重に点検をしましょう。
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この記事へのコメント
ぽん
以前の情報で、今回の事故はアンド回路の自動放出が働いたと書いてありました。まず先に煙感知が作動したらしいです。ボードの粉塵ですかね?ただ、自火報屋がいなく知識もないため音を止めただけで作業を続けたとか。で、感知器の復旧の時に熱感知が働いたらしいです。内装業者には自火報の仕組みはわからないから怖い話です。
うめうめ
コメントありがとうございます。
さらなる詳細情報頂き感謝です。
そうなんですね、煙感知器発報後、音だけ止めて保持されて感知器ヘッドを戻す際に熱が発報という事でしょうかね。
いや~~十分にあり得る話ですね。
ヘッドを戻す際に接点がくっついちゃうこともあるでしょうし。とりあえず二酸化炭素消火設備の自動消火が有効なのは無人施設であるのだから、無人施設内を工事する際には有人になるのだから当然、設備を殺して作業しなければならないですよね。本当に恐ろしい話です。